学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

学習の仕方に困ったことはありませんか?ここでは、「真似び=学び」という形で、さまざまな学習方法へのアドバイスをしていきます。学習の仕方に悩んだら、受験勉強で行き詰まったら、ぜひ訪れてみてください。効果的な学習方法を知って、学び続ける人を目指しましょう!

2020年入試改革 私大入試改革で受験勉強も変わる?早稲田の発表を受けて。

今日は早稲田の入試改革から、受験勉強がどんな風に変わるのか、そんなことを考えてみます。2020年の入試改革とははたしてどんなものなのでしょうか?
こんな記事を見ました。
headlines.yahoo.co.jp
まあ、だいぶ認知されたことではあるんですが、実際に学校で受験指導をしていると、もちろん進路指導、学習指導やカリキュラムなどに興味関心が出てくるのと同時に、国語の先生として、「授業の内容」ってこれでどれくらい影響を受けるのだろう?ということも気になってくるわけです。
それはつまり、みなさんの側からすれば、何か受験勉強って変わるの?ということですよね?
ちょっと気になったので、一応、書いてみたいと思います。
こういうのは、新しい情報でどんどん更新されていきますし、また大学もどんどん入試方法を変えていくはずです。
したがって、あんまり真剣に読まない方がいいです。
真剣に読むのは、高校1年生と、浪人する可能性がある高校2年生ぐらい。
それより下の学年になっていくと、こんなところの情報よりも、1年後の情報の方が信じられますからね。
準備には意味がありますが、慌てず、今与えられていることをしっかりやることの方が大事です。
まず、私がまとめたのがこちら。
manebi.hatenadiary.jp
一応振り返りながら進めます。



2020年入試改革

まず2020年の入試改革をまとめるとこんな感じです。詳しくは前回のを読んでください。かなりシンプルに書きます。

センター試験が共通テストになる

変化は、国語に記述分がプラス。20分、200点にプラスアルファ、のようです。今のところ。数学①に記述が入る。これは100点の中。さらに、複数解選択などの解答方式が可能になってきます。あとは1点刻みをやめる、といっていましたが、これもだいぶ不透明です。入試で使うなら、1点刻みをやめたけど、3点刻みです、とか、900点満点で5点刻みです、とかそういうことになるんじゃないでしょうか。

英語4技能外部試験が「国立」大学で義務化

高3になってから2回。「この検定受検を受験に使います」と宣言してから検定に向かう方式のようですね。だから、2年生までの点数は関係ないし、宣言した時に失敗したらだめってことです。その意味では受験ですね。
あと、義務化したのは国立ですが、まだまだ不透明。もともとは共通テストの英語がなくなるぐらいの雰囲気だったのに、どうもそうではないですから、「外部検定」「共通テスト」「大学ごとの個別試験」と3つあるわけですから、外部検定は受験資格だけという大学から、個別試験では英語やりません、という大学まで、さまざまになりそうですね。

学力の3要素が義務化、それに合わせて調査書変更

これは意外と重要で、私の予想では、調査書が加点される大学が増えるとふんでます。詳しくは前回のやつをどうぞ。

推薦入試が整理される

基本は変わりませんが、定員をこちらに振り分ける大学は間違いなく増えてきますから結構面倒です。準備が両方必要になってきます。

というような変化なんですが、入試準備としては、なんとなくわかってくるわけですが、それでは勉強の中身はどれほど変わる必要があるのか、という話です。


早稲田は何をするのか?

早稲田が何をするのかは最初のリンクをお読みください。
政治経済学部、国際教養学部、スポーツ科学部のたかだか三学部ではありますが、それでも看板の政治経済学部がやるっていうのが味噌です。
で、やることは、

数学の必修化

と言われていますが、共通テストで4科目ということですね。25点ずつ100点。

外部検定得点化

30点程度だそうですね。とはいえ、どのぐらいの得点で、平均的な生徒と何点差がつくかは未定。

独自試験の変更

90分一題とはいいながら、英語と社会の論述のにおいがぷんぷんしております。英語の図表読み取りと歴史総合や公共をベースと書いていますが、2020年では変わってないはずなんですけど、要は社会の問題っていうことでしょう。これが70点と。

まあ、こういうたぐいの変更が起こったとして、まだ一私立大学の早稲田だけで、それもその中の3学部だけで、だから何が変わるんだっていう話ではあります。


具体的に何が変わる?

ということで、現段階では、

  1. 数学の必修化
  2. 英語の外部検定

あたりに、気がいってしまうわけですが、これが一般的だとするなら、ちょっと結構大変なんですけど…
ということです。
配点が出たことでわかるんですが、

  • 英語=共通テスト25点+外部検定30点+独自試験35点(仮)=90/200
  • 国語=共通テスト25点/200点
  • 社会=共通テスト25点(※ほかにしてもOK)+独自試験35点
  • その他、数学や理科=共通テスト選択分 数学①25点+もう1科目あるいはなし

もうわかりますよね?
私の科目国語が、70点/230点から大幅な配点変更です。
そもそも、政治経済に古典がいるのかって話なのはわかります。だから、これを独自試験の国語で測ろうっていうことでしょう。おそらく。
慶應大学がずっと小論文を課していたことを考えれば非常に妥当な作戦です。
いやいや、すごいことになってきました。
要は、英語と大学で必要な専門性が第一優先。
そして、一般教養として、国語や数学や理科などを要求していく。だから、古典や漢文がいらないわけではない‥ということですよね。


共通テストを一般教養としてとらえなおすと…

この変更が可能になるための共通テストの性格をおさえておきたいと思います。
共通テストは簡単だ…なんていう話もありますが、これは全く違います。数学や物理などで出題傾向や出題内容に批判が出ていることは100も承知の上で、試行調査のデータだけでみるかぎり、平均点は50点ぐらいでそろえられています。現在のセンターが60点ぐらいだから、平均点は下がっているんです。
これはおそらく、もともとのレイアウトが、基礎学力試験と現状の共通テストの二本立てで、基礎学力の方がレベルを下げてAOとかに使う‥みたいな話だったのが、いつの間にか、こちらがフェードアウトして、共通テストだけが残ったんですよね。
だから、このまま行くと、共通テストはむしろ上位大学の選別に使える試験になるわけです。
今年の11月にもう一回試行調査がありますが、ここの平均点がもし50点なら、反省してないということなので、このぐらいの平均点を狙っていたんだ、ということがはっきりします。
で、これが50点ぐらいだとして、例の「1点刻みはやめる」というのが、ABCDE5段階です…みたいな話であるなら、この早稲田の入試方式はあり得ないはず。ということは、ほとんど今までと変わらない方式なんだろう、と推測できます。
うん。共通テストは決して、簡単になって教養を聞く、勉強しなくていいんだ‥ではなく、むしろ、今まで通りの基礎学力をはっきりと確かめる試験として生き残っていくんじゃないかっていうことです。


じゃあ、どうしましょう?

2020年入試を受ける現高1の場合、こういうはっきりとした変更をする大学と今まで通りの試験を課してくる大学、まあそもそも早稲田の中だって、政経は変えるけど、法・商・社学・文・文化構想は変えないみたいな話で進んでいるわけで、この二つの準備をすることになるわけですが、結局はあまり準備としては変わらない。
いくら配点が低いとはいっても、共通テストレベルの基礎知識は必要で、それは平均点が下がるとすれば、より難関大ほど手が抜けないわけですから、やるしかない‥という感じ。
一方で増えるものは、とにかく英語のウエイトと、それから論述というか、大学の学部学科で必要な小論文的な知識の活用、という方向性が見えてくるわけです。
これだって、難関国立大を受ける人からすれば、もともと論述対策しているし、慶應を受けるなら専門的な小論文対策が必要だし…ということであまり変わりません。
じゃあ、何が変わるんだ!と言われれば今のところ、
私立文系という逃げ道がなくなっていく‥ということじゃないかと思います。
もちろん、難関大学まで狙わなければ、今だって基礎知識をきちんと詰め込んでいけばいいわけで、その延長線上に早稲田があった。でも、これからは、難関大に行くなら、論述とか活用とか思考力とか、そういうことが要求されてしまうから、簡単に私立文系って逃げると、あるいは、高3からあわてて塾通って受験勉強、なんてやると、行ける大学が限られるというような気がします。

国語の教員としては、教える内容は基本の徹底としつつ、どうやって思考力や表現力を鍛えるのか、という難しい課題があがってきたような気がします。