学びの真似び(まねび) 「学び続ける人」になるために(教育と受験と勉強法)

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私立大学定員厳格化…「A判定でも落ちる」って本当?難化した入試と模試の判定 2019年入試をどう迎えるか?

今日は私立大学定員厳格化にともない、A判定でもたくさん落ちた、という噂についての検証です。本当にそんなに難しかったのか?A判定でも落ちるのか?対策は?併願校をどう考えるべきなのか?そんなことを検証します。

ずいぶん間があいてしまいました。

夏休みに入ると学校は休みで先生はいいなあ、と思われる方もいると思うんですが、休みになると、夏期講習やらクラブ活動やら研修やら、いろいろなものがどわっと入ってくるんですね。

ふだんの学校だと仕事のペースやリズムが決まっているんですが、夏休みに入るとたん、次から次へと様々なものが入り込んできます。

まあ、人それぞれではあります。さぼろうと思えば、さぼれてしまうのが教員の仕事ではありますし。また、難しいのは、忙しく働いているからいい教員かといえば、必ずしもそうではありませんし。休みがきちんととれない、時間が決まらない労働環境というのは、今後の日本の教育をきっとだめにしていく大きな原因になってしまうでしょう。

さて、話を戻しまして、今日は私立大学定員厳格化の話です。 

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 一度こんな話をあげましたが、定員をきちんと守らなくてはいけなくなって、大学入試が厳しくなっているという話です。

でも、この話の中で「A判定だったのに、ボロボロ不合格になっていく」なんていう表現が出ておりまして、このあたりを受験生にきちんとわかってもらいたいなあ、というのが今日の話です。

 

 「A判定でも落ちる」って本当?A判定って何?

さて、この「A判定でも落ちた」という話、どこまで真に受ければいいのか?そして、どう受け止めればいいのか?ということです。

まず、「A判定」とは何なのか、ですね。

これは模擬試験によって、算出の仕方が異なりますが、基本的には、

A判定をとっている受験生の約80%が合格したライン

という模試が多いようです。

河合模試の場合は、C判定を決めて、機械的に2.5上がB、その2.5上がAというように設定されますが、ベネッセの場合は、大学ごとにA、B、C判定ラインを設定しています。

ですから、河合模試の場合は、そもそも、「A判定が80%合格ラインではない」ということになります。この河合模試の判定については、そもそもの偏差値の算出方法に大きな問題点がありますので、これはまた、いつか機会があれば書きますね。

で、ということは、この段階で

A判定は5人に1人が落ちるライン

ということになりますね。

だから、A判定で落ちたということはまったく珍しいことではありません。

A判定ラインって何?どうやって決める?

次に、この合格率80%ラインがどうやって決まっているか、という話です。そもそも、このラインを

昨年の今回の模試を受けた結果をもとに合格率を出しているもの

とか

今回の模試を受けた志望者から合格ラインを決めているもの

とか

受け取ってはいけません。

よく見ればわかりますが、模試の判定ラインは毎回同じです。

つまり、この判定ラインというのは、

5月であっても、8月であっても、10月であっても、直前であっても、同じレベルの問題を解いたら、合格ラインからこぼれる受験生が20%ぐらいいる

という、「揺れ」の問題ととらえなければいけません。

したがって、5月のE判定なら、まだいくらでも挽回できますが、直前のE判定なら、かなり厳しい、ということが言えるわけです。

模試の判定は今現在の実力であって、未来予測ではない

ということです。

だからこそ、現役生は最後まで伸びるわけです。

話を戻します。ぼくらがいく予備校主催の入試動向の説明会では、

「今年のA校は、応募状況がよく、志望者が増えていますが、B判定ラインやC判定ラインより上の受験生は増えていませんので難易度は変わりません」

とか

「B校は志望者が減っていますが、B判定より上で受験生が増えているので要注意です」

なんていう説明がされるんですが、これも予備校が合格ラインをいじっていない証明。逆に言えば、こうしたランキング(つまりC判定ライン)なんかで、難しさを探っていると実際には違う結果になったりする可能性は十分にあるわけです。

 

今年に限って本当にA判定は落ちたのか?

そう考えていくと、昨年入試に限ってA判定の受験生がたくさん落ちる可能性はあるのか?ということを考えます。

当然ありますね。

それは、もともと予想していた判定ラインより実際の入試では優秀な受験生が多くなり、合格ラインが高くなったということです。

しかし、この場合、次のふたつのことに注意する必要があります。

次の年度には、高くなった合格ラインが反映されている

あたりまえですね。昨年合格ラインを読み間違ったわけですから、これは必ず次の年に修正されます。今年もA判定がボロボロ落ちるとすれば、それはさらに難化するということです。

多くの大学では、すでに定員に合わせて合格を絞っていますから、さらに合格ラインがあがるということはなかなか考えにくいですから、今年についていうなら、「A判定でも落ちるから受験校を増やそう」なんていう必要はないと思います。

予想を上回って合格ラインが高くなる場合、その兆候は模試動向に表れている

自分の学校の生徒のために、狙い目となる大学などを調べたりするためには、模試動向を分析する必要があります。今は大変親切で、ベネッセ、河合塾、駿台予備校と、それぞれが模試動向を分析して、私たちに報告してくれています。

判定ラインが厳しくなっている、そうでない、などは、多くの場合、予想通りであるんです。

もちろん、一般の受験生が、普通に生活をしていては、これらの情報は入ってきませんが、おそらく多くの進学校の進路の先生や高3の先生の手元や頭の中には、こうした情報が入ってきています。

私の学校の場合、それを学年集会で伝えたり、資料を教室置きしたりして、情報を欲する生徒には与えられるようにしていますが、先生の手元でとまる学校は多いと思います。

それでも、自分で情報をとりにいけば、多くの場合、厳しい入試か、そうでないかぐらいは予想がつくはずです。もちろん、大手の予備校も大丈夫です。自分で情報を求める、という姿勢が大事。

批判する意図は全くないですが、個人塾のような場合は、最新の入試動向についてだけは、なかなか入ってこない可能性がありますので注意が必要ですね。

昨年の場合、入試結果を見ると、明らかに日東駒専が一昨年より難化しました。一昨年はこの募集単位はそこまで難化傾向ではなかったのですが、昨年は応募増、合格減に。ただ、その兆候は、秋の分析ですでに出ていました。

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昨年の入試結果については、こちらでどうぞ。

A判定でも落ちるとするなら理由は何か?

さて、こう書いてくると「もしかしたらA判定で落ちるって当たり前なのかもしれない」という可能性もありますね。

ちょっと考えてみましょう。

そのA判定はどういうA判定か?

わかってきたと思いますが、A判定の意味によって違います。

ずっとA判定だった人。

まぐれで一回だけA判定を取った人。

5月、8月の頃はA判定だったけど、後半失速して判定がとれなくなった人。

マーク模試ではA判定だけど、記述模試ではだめな人。

などなど。

最初の人が落ちたなら、厳しい入試ですが、2番目以降ならさもありなんという感じ。

「A判定でも落ちる」ってショッキングですから、先行しますけど、考えないとだめですね。

併願校をどう作ったのか?

つぎに考えたいのはこれ。

1校なら、20%は落ちるわけですから、5人に1人はあたります。

たとえば、感覚的な問題ですが、GMARCHに受かるかどうかわからない、受かったらうれしいな、ぐらいの人(C判定ぐらいのイメージですね)が、日東駒専を1校しか受けていないとすれば、それはそもそも落ちるのはふつう。

本当にA判定だとして、そして、それを2校、3校受けたとして、落ちる…

考えにくいですね。

だって、落ちる確率は20%の20%ですから、だいぶ下がっていくわけです。それでも落ちたとするなら、違う可能性が浮上します。

志望校の対策をしっかり練ったのか?

なめていて、対策をしていないとしたら、どうでしょう?

一般的にC判定からA判定の差は偏差値で5ポイントぐらいですから、このぐらいでかんがえてみましょう。

余裕だと思って、過去問題もやらずに臨む。

受かりたいから、必死に問題傾向をつかんで過去問題対策を繰り返す。

もし、これで逆転ができないなら、C判定以下から受かる方法はありませんね。

みんなが同じように準備をしてくるなら、それはA判定の人は落ちませんが、実際にはそうではない。「滑り止め」なんて言う言葉のおかげで、準備もせず下のレベルには受かると思っている人がたくさんいるわけで、実際に受験校の傾向をつかむことはとても大事です。

漢字の配点が大きい。

現代文だけの選択ができる。

文学史やことわざがでる。

などなど、知っていれば得点源になるところが、差をつけられる可能性だってあるんです。

最低1年分ぐらいはやりたいですね。

偏差値と得点の違いを知っているか?その大学の合格基準の出し方を知っているか?

つぎにこれです。

模試は偏差値。実際の入試は得点です。

そして、中堅以下の私大は、合格最低が60%を軽く超えていることが多いんです。

それに対して、模試は、200点満点で平均点が100点を下回るのが当たり前。

つまり、偏差値50ぐらいの大学をすべりどめにしている場合、

模試では50%ぐらいでA判定がついても、実際の入試では70%はとらないといけない

ということです。

もちろん、問題は簡単です。だから、点数はあがるはずです。でも、あがらない可能性もあるんですね。

苦手科目がある

苦手科目があると、たとえば、70%合格ライン300点満点とすれば、210点と仮定します。

苦手の国語で40点をとった場合、マイナス30点。残り2科目で180点必要です。平均して90点。いくら問題が簡単でも、90点とるとなると、結構きつくないですか?

この問題はえてして、配点の多い英語、理系の数学を苦手にしている生徒が、ひっかかる場所になります。

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 苦手分野がある・範囲が終わっていない

いくら問題が簡単になっても、手のついていない範囲があるとすればどうでしょう?地歴や理科、数学などで起きそうですね。英文法などでも起こりかねません。

ある範囲がすっぽり0点だとすれば、問題が簡単になればなるほど差がつきます、というか、簡単になっても点数があがらなくなりますね。

だから、簡単な分野だけでも終わらせる必要があるんです。 

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大学の判定基準はそれぞれ違う。

模擬試験では、各社の方針によって、偏差値を算出し、判定を出します。河合塾の場合だと、大学の配点をもとに、偏差値を配点の割合で増やしたり減らしたりして、平均をとるわけですね。

しかし、実際の大学が同じ出し方をしているかというとまったく異なります。

本当は結構こまかく知っているのですが、ここではこんなやり方なんだ程度に紹介します。

一番オーソドックスなのは、選択科目に関して、偏差値をもとに揃えて、点数に戻すパターン。「標準化」なんていう言葉が使われます。

つづいて、センター試験と同じように、平均点が違っても、得点をそのまま生かすパターン。私立大学ではかなり少数派で、メジャーな大学ではひとつしか知りませんが、このパターンもあります。原則得点だけど、大きく差があるときは変えます、みたいな大学を含めると、多くなるかもしれないですね。

そして、変則型ともいえるのが、模試とおなじように、合否判定に偏差値を使うパターンや、上記のものが組み合わさったパターンなどです。

何が言いたいかというと、

模試、すなわち偏差値で判定を出す場合、

たとえば、帰国子女のような英語だけものすごくできる生徒が模試で偏差値80とかを出すとします。(平均点は50%を切ることが多いので、意外と上は出るんですよ。)

その場合、英語80の1.5倍、国語40、歴史40でも、偏差値は57.5となります。(河合方式を採用します。)

ところが、これを実際の入試の場合で考えると、

たとえば、英語150点満点で130点とっていたとしても、国語30点、歴史30点だとするなら、合計190点で、54% にしかならないわけです。国語と歴史が20点ずつプラスになっても、230点で、66%。

この大学が70%弱の合格ラインだとすると、かなり厳しいですね。

だから、苦手科目を作るのは危険なんです。

 

 A判定で落ちないために

というわけで、今日の話は、逆に言えば、A判定で落ちないために何が必要か?でありまして、それは、当然、「受験勉強をどう進めるか」という話ですね。

  • 苦手をつぶすこと
  • 得点で考えること
  • 受ける大学の過去問題を早めに一度くらい見ること
  • 成績を長期的に客観的に見て併願作戦を立てること

考えてみれば、当たり前のことばかり…

もちろん、落ちる可能性として、「メンタル」の可能性もありますが、私立大学がどんなに厳しくなったとしても、予想外の不合格がくるのには、私はそれなりの理由があるんだと思います。

本人でなければわかりませんから、それは「予想外」ですし、落ちる生徒は大事なことに気付かずに過ごしてきたわけですから、やはり「予想外」。

でも、何事も準備。

メンタルに関しても、やるべき準備はたくさんあります。でも、それはまたの機会にしましょう。

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